【短編エロ小説】大司教が権力にものを言わせて農民のの美人妻を略奪レイプする物語。

はじめに
長編小説を書いてみたくて、その練習用にかいた短編の18禁アレンジバージョン。
通常版は小説になろう『https://ncode.syosetu.com/n1134im/』にアップしてます。
星の意志と堕落神官(18禁)
月も見えない漆黒の夜、闇の中を早足で移動する男たち。ローブ姿でフードを目深に被った男を中心にして、左右にはレザーアーマーにを着込み大ぶりの短剣を腰に差した男、さらに後ろにも同じような格好の男が一人、全部で4人。彼らの外見に共通しているのはその着衣に染め抜かれたモーリス教の聖印、白十字。お忍びで行動する貴人とその護衛という風でありながら、教会の聖印を堂々と見せつけているあたり、これは脅しなのだろう。見なかったことにしろよ……と。
この世界はまだまだ未熟で庶民はろくな教育も受けていなかったし、多少は法が整備されているとしても下層の人間はほとんど理解していなかった。もっぱら社会生活におけるモラルや道徳、そういったものは宗教の教えによるところが大きい時代。故に、社会のルールを司る教会に逆らった者がこの地で生きることは、ほぼ不可能といってよかった。
州都と呼ばれる城壁に囲まれた大都市、城壁の外には見渡す限りに広がる郊外の田園地帯。畑で額に汗して鍬を振るう一人の男、ルイスの元へ教会からの使者が訪れる。
「今日の夜、大司教様がお前の家を訪ねることになった。準備をしておくように」
「えっ、おいらの家に大司教様が!?」
大司教など雲の上の存在、大教会の庭で行われる新年のミサで遠くから見ることがある程度で、顔すらまともに見たことが無い。高位神官などと一生かかわることがないはずの農夫、その中でも底辺に位置する小作農のルイスが戸惑うのも当然のこと。
「名主には黙っておけ、大司教様は今年の作柄について農夫と直接話しがしたいと仰せだ。よいな、しかと申しつけたぞ」
さらに、食事などはいらない、余計な気を遣わず家の掃除をすること、身綺麗にして清潔な身なりで出迎えるように……などといくつか言いおいて、使者は城壁のほうへと来た道を引き返していった。
「大変なことになったぞ」
使者を見送ったルイスは近くの作業小屋へ走る。小屋の中に名主の家人を見つけると、腹が痛いなどと適当に体調不良を訴えて、急いで自宅へと向かう。ちなみに名主とは大規模に田畑を所有する地主のことだ。ルイスのような農夫は家の周りにある狭い田畑だけでは生活が立ち行かず、名主に農夫として雇われることで生計を立てていた。
「あんた、血相変えてどうしたの?」
「大司教様がくる、お前も川で身を清めて服を着替えろ。ラウルは家か、あいつは後で俺が洗ってやる」
家の前で作業をしていた妻、マルセラの問いに答え、そのまま立ち止まらずに家の中に入るルイス。まずは家の片づけ、息子のラウルと一緒に人を迎える準備をする。女性は髪が長く乾かすにも時間がかかる、身嗜みを整えるのにもそうだ。だから家の掃除は男がする。
そうして慌ただしく準備を整えていくルイス一家、そもそもこんなことは初めのこと。故に、どこまで準備すれば良いのかも分らぬまま、暗くなるまで準備は続く。そうだ、蝋燭はいつもより多めに使って部屋を明るくしたほうが良いだろう、2本か、いや、4本か……そんなことを思いながら。
月も見えない漆黒の夜、都市郊外にある小作が暮らす小さな集落、その入り口近くに建つ一軒の家、玄関扉の前。教会の聖印を染め抜いた装備に身を固めた4人の男たちの一人、護衛らしき皮鎧の男が扉をノックする。
「きたっ!」
小さく声を発したのは息子のラウル。マルセラは息を飲み、ルイスは大きく息を吸い込み、吐いた。
扉をノックする音に「はい、いま開けます」そう答えて扉に向かうルイス。彼が閂を外して扉を開けた刹那、目の前にばちばちと星が舞い腹に衝撃を受けて息が詰まる。顔面にはぐしゃりと何かがつぶれるような音と衝撃、勢いのままに倒れ込む、頬には土間の冷たい感触。
「イヤーーーッ!」
ぐわんぐわんと頭の奥に響いていた耳鳴りが遠ざかり、聞こえてきたのは女の悲鳴。
「かあちゃん!」
子供の声とほぼ同時にバギャッと今まで聞いたことのないような音、ガシャンと何かが棚にたたきつけられた音、どさりと落ちる音。目を開けたルイス、視界の左側は家の土間、その先に見えるのは歪に変形した下あごから涎と血を流し、意識がないのか虚ろな目をして横たわる息子、ラウルだ。
襲撃を受けた! 誰に?
「いやっ! ああ゛っ、うぐぅ」
「ぐふふ、思った通りの美形じゃないか」
後ろから護衛の男に抱きつかれ猿轡を噛まされるマルセラ、そのまま羽交い絞めにされて豊かなバストを突き出すような格好になる。
「おぉ、これはこれは、見事なものだな」
目の前に突き出された母性の象徴、はち切れそうなほどに自己主張する胸の谷間に顔を埋めて大きく息を吸い込むローブの男。
ルイスが目線を上げてあたりを伺うと男に羽交い絞めにされたマルセラと、その胸に顔をうずめるローブの男が見える。ローブの背中には白十字。必死で拘束からのがれようとするマルセラ、猿轡を噛まされた口からうめき声をあげて必死に振りほどこうとしていた。
「大事なわしの女だ、傷をつけるなよ」
護衛に注意を促すローブの男。マルセラの胸から離れ、羽交い絞めにしている護衛ともう一人にテーブルの上へあおむけに固定するように指示を出す。
ようやく状況を理解したルイス、襲撃者は大司教とその護衛だった。一瞬の出来事、今になって激痛が襲ってくる。殴られて朦朧としていた意識が覚醒に向かっているのだ、損傷部位の痛みが酷い。おそらく顔面、頬のあたりを骨折しているのだろう。
「ルイスと言ったな、聖マルセル教会の大司教ゴルカ=カニサレスがこの女をもらい受ける。不幸にも夫と息子を賊の襲撃で亡くし、途方に暮れていた未亡人を慈悲深き神の信徒たるこの私が保護するのだ。異存はあるまい?」
「あがぁぁぁっ」
三人のうち、手すきの護衛が土間に横たわるルイスの顔を踏みつける。
「悪く思うな。3日前だ、市場でこの女を見かけてな、わしの愚息が欲しい欲しいと駄々をこねるのだ。ホレ、このとおりじゃ」
ローブをたくし上げた股間から姿を見せたのは、天を衝かんと反り返った長大なペニス。ルイスに見せつけるように取り出して、脈打つそれは今までに見てきた誰の者よりも長く太い。
「我が家に連れ帰ってから可愛がってやろうかと思っていたが、亭主の目の前で一度済ませておくのも良いかもしれんのぉ。我が愚息も辛抱たまらんと涎を垂らしておることだし」
せっかく儂の為に身を清めて待っていてくれたのだから、ここでちゃんと可愛がってやるべきじゃ、そうじゃそうじゃ……ならば。独り言を呟きながらテーブルの上であおむけに固定されたマルセラの脚のほうへと移動し、護衛に両足を広げさせてその間に身体を割り込ませると、マルセラの腰を両手でつかんで押さえつけた。
この時代、庶民の女は下着など着けてはいない。スカートをたくし上げれば、すなわちメス穴の入り口はスグ露わになる。ゴルカがマルセラの股間に顔を埋め、しばらくじゅるじゅると何かを啜るような音をさせたかと思うと、少し前かがみ立ち上がりペニスの先端で狙いを定めて腰を前に押し出す。

ズブリ……
「く゛う゛う゛う゛ぅーーーー」
ひときわ大きなうめき声を発して身体をのけ反らせるマルセラ。長大なペニスが一息に差し込まれると、マルセラは目を大きく見開いて顔を左右に振り、身体を上えずり上げて逃れようとする。
しかし男たちに抑えられてはどうすることもできず、ギシッギシッとゆっくりと身体が揺れ始める。
最初は大きくゆっくりと、そして次第にスピードを上げて規則正しい律動と変わっていくのにあわせてマルセラの口から洩れる吐息の様子も変化する。
「うっうっうっぐぅっ」
「やめろ、やめてくれぇ……」
土間に横たわり目を閉じ呟くように懇願するルイス、激しく身体を揺らされるマルセラに下卑た視線を向ける三人の護衛。
「下の口から涎がたれてきたのぉ、ほれ、亭主と比べてどうじゃ」
「うっぐっうっうっ」
パシッパシッという肉を他叩くような音と、ネチッネチッと湿り気を帯びた粘膜の音、ギシギシときしむテーブルの音と荒い息遣い規則正しく、そして次第に感覚が短く早くなっていく。部屋の端にはもはや忘れられたように転がり、ピクリとも動かない少年ラウル。ラウルは一撃で顎を砕かれ、焦点の合わない目で規則正しく動くゴルカの尻中を見つめていた。
「ぐっう~っ、あ゛う゛ーーーーっ!」
規則正しいマルセラの呻きが突然変化すると同時に、激しく首を振り身体をのけ反らせる。ブルルッと身体を震わせたかと思うと、さらに大きく首をそらせて目を見開いた。
「ッーーーーーー!」
「ほぉ、この状況で達しおったか。ならば儂も」
ゴルカの腰がさらにその動きを速め、だ強くしたマルセラの身体が激しく前後へ揺さぶられる。
「ぐぬぅっ」
低く呻き語をあげて、ペニスを最も深いところで突き挿れた姿勢で律動がとまる。
「猿轡を外せ」
護衛は言われるがままマルセラの猿轡を外すと、ゴルカは最奥にペニスを入れたまま彼女の唇に自らの唇を重ねる。メスの一番深いところに精を放ち、十分に余韻を楽しんだのちに引き抜かれたペニス。ズルリと音が聞こえてきそうなイチモツはテカテカと白濁に濡れ、今までそれが入っていた穴はだらしなく口を開けたままの閉じようとしない。しばらくして奥からボタボタと夫以外の男が放った子種が溢れてきた。
マルセラはもはや諦めたのか言葉を発することもなく、ピクリとも動かない。ぼんやりとした表情で天井を見つめる目元には、乾いた涙の跡があった。
ボタッ、ボタッ、自らが生れ出た場所、母親の膣口から垂れ落ちる子種が土間に小さなたまりを作る様子焦点の合わない目でぼんやりと見つめている息子、ラウル。
ラウルは部屋に乱入した護衛の一人が真っすぐ母を捕らえに来たときに、母を守ろうと護衛に体当たりをした。その際に護衛の裏拳を顔面に受けて、壁際の棚まで弾き飛ばされた。軽装とはいえレザーアーマーと短剣で武装した屈強な男、手には甲の部分に鉄板を仕込んだ皮グローブを着けていた。その鉄板入りグローブの裏拳をまともに受けたのだ、無事で済むはずがない。
「ママ……」
意識を失っていたラウルの口が微かに動いた、実際にはゴボゴボという音しか出ていないが。折られた顎骨、歯も何本か砕けていて、口の中は血まみれで唾液と交じり合い、閉じることのできない唇から外へと垂れ流されている。ラウルは言葉を発することができるような状態ではなかった。
覚醒した意識、目の前で繰り広げられる光景。何が起きているのか詳しくはわからないが、父が倒され母親が酷い事をされている状況は理解した。体に力が入らず、声を出そうにも口が思うように動かない。だからラウルは叫ぶ、声にならずとも心の中で、必死で、強く、強く。
お母さんを助けなきゃ、お母さんだいじょうぶ? お父さんお母さんが、お母さんを虐めるな、やめろ! 誰か、誰かお母さんを助けてっ!!
その時ふっとかすかに、ラウルが横たわる部屋の隅に風が吹く。
「お前はもう助からん」
突然ラウルの頭の中に声が響いた。低く暗く威圧的な声。
「出血がひどい、頭の中にも血が出てる。お前はもう助からん」
「誰、誰なの?」
「母を助けたいか」
「助けられるの?」
「あの男たちが憎いか」
「憎い? 憎いかどうかはわからないけどママを虐めるやつは嫌いだ!」
「お前はもう助からん」
「うん、酷い事になってるのはなんとなくわかる……だから、だからお願い、最後のお願い、ママを助けて」
「よかろう、その代わりその体をもらい受ける。お前の母を助けるには肉体が必要だ」
「うんわかった。こんな傷ついた体でよければ好きに使っていいから、お願い、ママを助けて」
「承知した。そなたの願い、星の意志が引き受けよう」
その言葉と同時にすべての感覚がなくなり、ふっと目の前が真っ暗になった。僕は死んだの? ママは、ママはどうなったの? 星の意志? だっけ、僕の願いは……
キターーーーーー!!初めての受肉、祝初体験!! ワレ、大地に勃つ!! じゃなくて立つッ!!
この星の誕生とともに生まれた星の意志であるワレが自我に目覚め、それ以来、意識生命体ともいえる存在で世を彷徨うこと幾百年。命の精霊の助力があれば、相手の意識が消失している、あるいは同意を得ることを条件に肉体を譲ってもらえる事が判明したのがついさっき、そして初めての交渉でついに念願の肉体をゲットした。
ちなみに少年はまだ死んでいない、その意識はまだワレの隅っこに住まわせてある。せめて母を救い出せたかどうか、その結末くらいは見せてやらねば酷というものであろう。そう、ワレは慈悲深いのだ。
しかし、それにしてもこの肉体の損傷は酷い。まずは顎の骨が砕けていて、特に右側は歯もほとんどが折れたり抜けたりしている。出血がひどくこのままあおむけになると窒息死間違いなし。さらに棚に叩きつけられたときか、落下した時かに頭をぶつけている。頭蓋に異常はないが脳に傷を負った、そこそこ出血もしている。この世界では頭蓋に穴をあけて血を抜くような術式は存在しない、もはや死は確実なものだった。
そう、死ぬはずの身体をもらったのだ、罪悪感も少しは薄くなろうというもの。ワレはこう見えて小心者のお人好しなのだ。
「あがぁぁ!! ごぼぉ!!」
「イヤー!! あなた、あなた――――うぐぅ」
あ、父親殺された。
短剣を口の中にいれて半回転させてからグサリ……歯が剣に当たってガリガリする音が聞こえたし、なんか背筋がゾワゾワッとしそうなくらいむごい殺し方。大司教が果ててすぐ父親は殺され、母はいつのまにか猿轡を外されていて、夫の最後を見せられ大声を出して暴れたら腹パン気絶で護衛の肩に担がれて、少年の身体をもらったワレには護衛の一人が視線をくれただけで放置。人の家に上がり込み、ヤリたい事だけヤッて大司教とその護衛達は家から出ていった。
とりあえず一人残されたワレは少年の望みを叶えるためにもこの身体を治癒せねばと、命の精霊に回復をお願いする。
精霊というのはワレが星の環境を整えるために生み出した意識体。自我を持つ前のワレを、各専門分野ごとにコピーしたようなもの。星の意志を汲んでこの星の環境を整え、守り、必要な事象を引き起こすのが精霊の仕事なのだ。地水火風の自然を司る精霊と、生物を生と死を司る精霊、命の精霊が在る。
そして今、ワレはこの肉体を回復するため命の精霊に力を借りているのだが、とにかく損傷が酷いので回復にはまだ少し時間がかかりそうだ。体を横たえたまま、傍観者から世界に生きるプレイヤーの一人となった喜びをかみしめるワレ、これからの人生を思い期待に胸を膨らませるのである。
「ひでぇ殺し方だなぁ、奥方だけでもよく助かったもんだぜ」
翌朝、街から衛兵が集落に来ていた。一つの家族が賊に襲撃され、主人と息子が殺害された。命からがら逃げ伸びた妻は、大司教の慈悲により教会に引き取られたのだという。
「本当に賊なのかどうかはわからんがな……胸クソ悪い事件だぜ」
「それ以上は言うな、教会絡みはやべぇんだから」
「大勢の人が来る」見張りを頼んでおいた風の精霊から連絡を受けて家を出た。ワレは精霊の生みの親であるからして、特別助けを求めなくても何かと手を貸してくれるのだ。しかし精霊には自我がない、そのために放っておくと何をしでかすかわからない危険な存在でもある。
なんせ大陸を一つ沈めてしまうとか、天変地異すら引き起こす力を持っているのだから。
だからワレは精霊たちに、こちらからお願いしない限り何があっても手を出さないようにと伝えておく。そうしておけば自我も意志も感情もない彼らは、生みの親であるワレが具体的なお願いをしない限り何もしないのだ。
と、そんなことを考えている間にも我が家、というか、この身体の持ち主であったラウルの家の検分は続いていた。
「子供の死体はあったか、通報では父親と息子が殺されたと聞いたんだが」
「いや、倒れていたと思われる痕跡はあるが、死体はどこにもない。まだ息があったのかもな」
「逃げるにしてもかなりの出血だ、そう遠くへは行けまい」
検分は暗くなるまで続き、近所への事件に関する聞き込みやここで襲われたはずの少年の行方を捜すため、農夫たちも協力して周囲の捜索が行われた。まあ見つかるわけなんだよね、ワレが君たちを避けているのだから。
とりあえず人目を避けて城壁に向って歩みを進め、巨大な石の壁に手で触れてみる。表面は思っていたよりツルッとしていて、加工がしやすいザラザラとした砂岩系の石よりもかなり強度が高そうに見えた。
「なるほど、これをあの小さな人が自らの手で成したのか」
城壁は見上げるほどに高く、優にラウル少年10人分くらいの高さがありそうだ。城門は東西南北それぞれにあり、全部で四ヶ所。もちろん門兵が警備にあたり、不審者や手配者を見逃すまいと目を光らせている。とりあえずラウルの望みを叶えるのなら、街の中に入って教会近くにある大司教の邸宅まで行かねばならない。
ラウルの母は大司教の邸宅に連れ込まれ、そこで一日中、躾と称して凌辱の限りを尽くされているようだ。精霊たちからが語る大司教とマルセラの営み、時には二人三人と男が増えるようなのだが、生の声をそのまま運んでくる風の精霊と躾の様子を水鏡に記録して見せる水の精霊のおかげで、報告のたびに思わず下半身を硬くさせてしまうワレ。腹の底から湧き上がってくる活力と漲る気力、これが種を残すための生殖本能による働きと効果なのかと、初めて経験する事への興奮と生命の神秘に感動しながらも「すまぬ……」と、心の隅で眠るラウル少年に詫びる。まあ、あやつに聞こえないようにだが。
「さて、どうしたものか」
自らが創造した星の中で、初めて世界の住人としてこの世に顕現した記念すべき第一回目のイベント。どうせやるなら後世にまで語り継がれるような派手なのをドカーんと一発ぶちかますか……例えば、街ごと吹き飛ばすような。一夜にして州都と呼ばれるほどの大都市が消える、これは間違いなく歴史的大事件だ。
いやしかし、それではあまりにアッサリと殺してしまうので、この肉体を譲ってくれた心優しい少年の無念を十分に晴らすことができないかもしれない。あのような外道にはそれなりに苦しんでもらい、十分な報いを受けさせるべきではないのか。陰湿に、ねちっこく、真綿で首を絞めるようにじわりじわりと恐怖で神経を切り刻み、爪を剥ぎ、肉を削ぎ、骨に釘を打ち込み、命の精霊の力も借りながらそう簡単に死ねないようにしたうえで徹底的に苦痛を与えるような……それともアレか、利き腕と生殖器を切り落として生き延びさせるか。
うん、そうだな、どうせ今までも散々に碌でもないことをしでかしてきたのだろう。ならば罪をその身に刻み付け、苦痛にのたうちながら生き続けてもらうことにしよう、死によって救われるなどぬるすぎる。
そうと決めたワレは行動を開始する。立派な城壁やよく訓練された真面目な衛兵が固く守っていようとも、精霊の助力を得ることができるワレにかかれば中に入ることは容易いのだ。
目立たないように夜になってから地の精霊に助力を願い、城壁の下をくぐるトンネルを作ってもらう。繋いだ先は貧民窟の一角、治安も衛生状態も悪く、衛兵たちもほとんど寄り付かない場所。静かにトンネルを抜け、目指すのはマルセラが日夜を隔たず辱めを受けているという大司教の邸宅。もちろん侵入の痕跡を残さぬよう、トンネルの埋め戻しも精霊にお願いしたうえで。
「たのもぉ!!」
高さ4m、大人の身長の2倍を超える立派な屋敷の門を門衛ごと吹き飛ばすワレ。ゴルカを殺しはしないが、襲撃は思いっきり派手にやらせてもらう。なにせこのワレが初めて世界に刻む爪痕であるのだから、この街で後世にまで語り継がれるような大事件にしてやりたいじゃないか。もちろん護衛や使用人が手向かえば、殺すことに躊躇はない。
「ゴルカ=カニサレス、そなたが大司教という地位を利用して善良な信徒を傷つけた罪、決して赦すわけにはいかぬ。昨日の夜、郊外の農地で働く農夫ルイス宅を襲撃し、その妻、マルセラを夫の前で強姦したうえで奪い去り、農夫ルイスはその場で殺害。一人息子のラウルにも瀕死の重傷を負わせた」
風の精霊の力を借りて、街中に響き渡る大音量でゴルカを糾弾するワレ。
「よってワレは少年ラウルの母を助けてほしいという願いを聞き入れ、その肉体に受肉し、罪人ゴルカ=カニサレスに天罰を下すためこの地に顕現した。今からそなたの元に参る故、自らの犯した罪を悔いながら首を洗って待っているがいい」
こうしてモーリス教の天使が天罰を下しにやって来たみたいな話にしておくと、間違いなくこの大司教は失脚、すべてを失い罪人として扱われるだろう。
正面から堂々と名乗りを上げてワレが屋敷地に足を踏み入れると、建物の二階から十を超えるほどの矢が放たれる。さらに前から、横から、教会騎士団から派遣されたと思しき衛兵が襲い掛かってきた。
「引け! 手向かうなら容赦はせぬぞ」
そう言って暴風を浴びせてやる。衛兵の多くは風に押されて尻もちをつき、矢は風に煽られ押し戻されて、様々なものと一緒に吹き飛ばされていく。それでも向かってくる衛兵には、精霊の力を行使する。
「ならば死ね」
次は暴風ではなく、薄く薄く、平たく伸ばした鋭い風の刃、鎌鼬を放つ。この世界に魔法は存在しない、すべてはその肉体と弛まぬ鍛錬によって磨き上げられた武勇によって闘争の決着はつくはずである。しかしワレは違う、ワレは星の意志、それに合力して自然の力を操り現象を引き起こすのは精霊たち。
「ぐぎゃっ」
断末魔の声を上げ、見えない刃によって衛兵五人の首が飛ばされた。さすがにこの様子を見てワレを只の人ではないと認識したのか、武器を置いて跪く衛兵が一人、二人と出始める。その様子を見ながらワレは屋敷の中へと踏み入れて、精霊たちに導かれながらマルセラが調教を受けている現場へと向かった。
「あぁっ、わたし、あぁっ」
三階の奥の部屋、女の嬌声が廊下まで響いている扉の前、ここで間違いない。ワレはその扉を蹴破り、中へと踏み込む。すると、男に跨り顔を紅潮させたマルセラと目が合う。
「ラウル……あなた、生きていたのね」
ワレがこの肉体の母親としばし見つめあっている数拍の隙、反射的にマルセラを押しのけ立ち上がったゴルカは別の扉から逃走を図る。まさか護衛の衛兵を抜いて、ここまでたどり着くとは思っていなかったのだろう。ワレの言上を聞いてなお、まったくの無警戒だった。
「曲者じゃ、誰かおらぬのか!」
叫びながら背を向けるゴルカに向けて、逃がすものかと鎌鼬を放ち右腕を切り飛ばす。すると豚の鳴き声のような悲鳴を上げて、自らの腕から流れた血で足を滑らせ転倒した。もちろん衛兵はすでに戦意を喪失しており、この部屋へ駆け付ける者はいない。
「そこまでだゴルカ、今までしてきたことの報いを受けるがいい」
床にへたり込んだゴルカは恐怖で顔をひきつらせ、こちらを見ながら口を震わせる。命乞いをしようにも、恐怖で事が出ないのであろう。ワレは正面から歩み寄り、小便を吐き出し水たまりを作った男性器を踏みつぶすと、そのまま髪の毛を掴んで目線を合わせ、両の目に指を突き入れ目玉をつぶす。
「あぎゃぁぁぁ! いだい、いだいいぃ!」
「安心しろ、命までは取らん。天罰を下したうえで悔い改める時間をくれてやる、ワレの慈悲に感謝するがいい」
このまま放っておくと失血死するだろうが、ワレはそのような救いをあたえてやる心算はさらさらない。命の精霊からの助力を得て、ゴルカの傷口を塞いでもらう。もちろん、失われた組織の再生などしない。右腕でを肩から失い、踏みつぶされた生殖器は切除され、目玉はつぶれたままで止血された。そう、この姿でこれから一生、生きねばならない。
「ラウル少年の願いを受けて、マルセラ、そなたを助けに来たのだ」
そう言ってベッドの横で立ち尽くすマルセラに正対する。
「あなた様は一体……ラウルは」
そう問われたところでラウルの意識が飛び出してくるのを感じたワレは、抗わずにその感情を受け止める。親子水いらず、最後の別れだ。
「望みはかなえられた。一時的に身体を返す故、別れを済ませるが良い」
「母さん! 母さん!」
ワレはそう告げて肉体の意志をラウルに戻すと、二人は互いに涙を流しながら抱き合った。たった今まで他の男と交わっていた全裸の母、赤い斑点のように他人に汚された跡ののこる豊満な胸に顔をうずめて泣きじゃくる息子。感動の一場面を見て、何とも言えない興奮を覚えてしまうワレ。
もはや救いがたし……
しばらくすると少年の意識は薄れ消えていく。ラウルの身体に宿る意志がワレに変わったことに気付いたマルセラは、そのまま体を放して立ち上がり、ふらふらと窓際へと歩いく。窓を開け、振り返り、ラウルの体をしたワレに向けて寂しそうに笑ったかと思うと……そのまま窓の外へと身を投げた。
ドンっ
この部屋は三階にある。地の精霊や風の精霊に頼んでマルセラを受け止めれば、死なせずに済んだだろう。しかしワレはその選択をしなかった。このまま死なせてやるべきだと思ったのだ。
こうしてマルセラはこの世を去った。
ワレには何も語らず、地面との衝突音だけを残して…… ただ、最後にみせた笑顔はとても儚く、美しかった。
ラウルもその両親も死に、星の意志を宿して生まれ変わった孤児ラウルの新しい人生が始まる。正確な年齢を聞くのを忘れたけれど、屋敷に残っていた使用人5人に何歳に見えるかと尋ねると、3人が10歳と答えたので孤児ラウル、10歳ということにした。
街の衛兵はワレの口上を聞いて恐れをなしたのか、取り囲んだまま踏み込んでくる気配がない。適当に屋敷に残された金を奪ってとんずらするとしよう、地の精霊にトンネル作ってもらえば気づかれずに出られるだろう。
さて、どこに行こうか、まずは飯というものを食べてみたい。人々が笑顔で楽しそうに食べる食事というもの。今までは見ることしかできなかったワレだが、こうして肉体を手に入れたのだ、存分に楽しませてもらおう。
ついに星の意志は地に降り立ち、その力を使って世界に数々の騒動を巻き起こしていくのだが……それはまた、別の機会に話そうと思う。