【レビュー】隣の旦那を誘惑するバツイチ女『うわさの女 第1話』大見武士
浮気を許せないという人は、自己愛の強い人じゃないかと思うんだよね。自分を裏切った事が許せない、自分以外に好意を向けたことが……とにかく自分がなんだよ。だってさ、本気で相手を愛して離れたくなければ許さないという選択肢はないでしょ。
作品名:うわさの女 第1話
エロ漫画と言っていいのかどうか、大見武士作、商業誌の単話配信漫画。人の心の暗い部分を描いたシリアス系エロ漫画、良い人を妬んでどん底へと叩き落とす腹黒女のお話し。
同じマンションに住むママ友の集い、その内一人は5年前に夫に浮気されて離婚したバツイチだった。その隣に住む人妻は、夫に浮気されながらも事実を受け入れ関係修復。今の夫婦関係は良好。そんな二人を妬んだバツイチ女は、夫を誘惑してセックスフレンドとして不倫関係を持つことに成功する。みんなが幸せなら……人の善意を疑わず、全てを受け入れ許す人妻。そんな彼女にバツイチ女は夫を疑えというようなセリフを吐き、自分と夫との関係を匂わせて決定的な瞬間を抑えさせる。そして言うのだ「ざまあ」と……自分は失敗したのに、アンタが上手くいったらムカつくのよと。
ストーリー
ある日の昼下がり、同じマンションに住むママ友が集まりワイドショーで流られる不倫の話を見ていた。
中に不倫が原因で離婚したバツイチ女性がいたため、ママ友の一人が謝罪する。この番組にしたの、私だから……と。
バツイチの女性は5年も前の事だから気にしないと良い、そして、浮気されても許して関係を修復した人妻。
夫の浮気を知った後、更に夫婦の営みが増えた人妻。近所に声が漏れているようで、その事を指摘されると恥じらいながらも嬉しそうに笑う。
「一度やったおとこはまたやるから」
忠告ではないが、バツイチ女性の経験から出た言葉。しかし人妻は、全員が幸せになれるようにまずは信じると言い切った。
幸せそうな人妻に忠告したバツイチ女性、実は夫を誘惑して既に不倫関係にあった。つまり、またヤッてるのだ、この夫。
妻に夫を疑えと言いながら、その夫を自分が誘惑して不倫関係にあるという事実。
直接的ではないが、夫の不倫を匂わせる発言に妻が発した一言。
「なんで浮気なんてするんですかね」
それに対し、夫を誘惑して不倫関係にあるバツイチ女がさらに追い打ちをかける。
「なんであんな浮気者の旦那につきあってるのか」
妻に夫の浮気を疑わせながらも、肉体関係を続けるバツイチの女性。
流石にそこまで言われたら、信じたくなくとも夫の浮気を疑わざるを得ない。そして、隣のバツイチ女性がそれを知るという事は……察した妻が現場に乗り込んできた。
それでもお人よしの妻は、浮気性の夫の本性を暴いて教えてくれたのだと良い方向に理解しようとするのだが……
浮気を許して関係修復なんて、目の前で成功されるのが許せない。
ざまあ!!
人間が持つ負の感情を、真っ直ぐお人よしの人妻にぶつけるのであった。
総評:抜きどころのない漫画
「日常生活の中の密やかなる性愛の歪みを描いた、大見武士の背徳叙情溢れる新連載シリーズがスタート!」というキャッチコピー通り、性愛の歪を描いたシリアスな漫画ではあるのだけれど、人間ドラマに重点が置かれているためにエロシーンが抜かせるためのものでは無くなっている。
ヒューマンドラマとしてよくできた漫画だけれども、エロ漫画としてはどうなんだろ。ぶっちゃけ拙者のチンポはピクリとも反応しなかった。
ただ、性善説で語る人が多いとういうか、世の中なんでも建前で物を言う人が多いけれども、人の本質として妬みや僻みという感情は誰の心の中にもあって、むしろ善良な心より遥かに思いとして強いのではなかろうか。他人の事を「他人事」と割り切れず、あ~だこ~だ言ってしまう人、ワイドショーを好んでみる人なんかはまさに「他人の不幸は密の味」を地で行ってる人なんだろうね。
作品紹介:うわさの女 第1話
とあるマンションの一室に集まるママ友たちは、テレビから流れるワイドショーの不倫問題を眺めていた。ある一人が言い放った「ざまあ」の一言で、不倫に対する、各々の意見を論じ合う彼女たち。かつて夫の背徳に男性不信となったバツイチ女性は、不倫されても夫の純愛を信じる人妻に対し、 ある仕掛けを施して…。いつの時代も、男女の痴情に、人々は翻弄されるのか。日常生活の中の密やかなる性愛の歪みを描いた、大見武士の背徳叙情溢れる新連載シリーズがスタート!